予防接種について その2

 まずはじめに前回のエントリの修正から。定期の予防接種として実施されているインフルエンザ予防接種は、1)六十五歳以上の者 と 2)六十歳以上六十五歳未満の者であつて、心臓、じん臓若しくは呼吸器の機能又はヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障害を有するものとして厚生労働省令で定めるもの、の2つのグループに属する方に対して行われています。2番目の条件を記載し忘れておりました。失礼しました。

 では、今回は定期予防接種と任意予防接種の違いについて触れます。

定期と任意の違い

 まず名前が違う、定期と任意の予防接種で異なるのは主に「制度上のお金」です。お金というとあまり聞こえは良くないかもしれませんが
1)ワクチンを接種する際にかかる費用
2)(無視したいけれど)無視できない副反応による補償
の上記2つが大きく異なります。さて、実際はどうなっているのでしょうか。

1)ワクチンを接種する際にかかる費用

 予防接種法の定期(勧奨)接種に定められているワクチンは、前回の記載の通り一定の期間内であればほとんどの場合無料で接種することができます。一定の期間であれば、という条件がついているところがネックですが、この条件をクリアすればワクチン接種を、費用負担なく受けることができます。
 対して任意接種では、全てのワクチンが原則全額自費となります。例えばHibワクチンでは、標準で生後2ヶ月以上7ヶ月未満で接種を開始し、4〜8週の間隔をあけて3回接種します。さらに3回目から約1年後にもう一度接種、の最大で計4回を行うことになります*1が、一回あたりおよそ6,000円〜7,000円(医療機関で差があります)なので全部で約30,000円かかります。この金額を高いとみるか、安いとみるかは意見の分かれるところかなとは思います。Hibワクチンの場合は免疫獲得率は良好である*2ので、病気になるのを防ぐことから考えれば決して高すぎる!値段ではないとも言えますが、必要な人が必要な時に接種できるように、できるだけ予防接種の敷居は下げたい。やはり少しでも公的な援助が欲しいところです。かかる費用分のお金を、何か別の面からお子さんのために使う余裕もできますしね。

2)(無視したいけれど)無視できない副反応による補償

 病気の予防や症状の軽減に有効であるワクチンも、種類によって頻度や症状は異なりますが、接種することで局所的・全身的な副反応(副作用)がみられることがあります。多くは注射をしたところが赤くなって腫れたり、微熱がでたり、機嫌が悪くなったり、というような軽い症状が何日かみられたあと、問題なく軽快します。ごくまれに重症化することがあり、その場合は症状がおさまった後になんらかの障害が残ることがあります。このように予防接種が原因で、医療を必要とする状況になってしまったり、不幸にも亡くなられてしまったりした場合のために健康被害救済としての補償制度がありますが、定期接種と任意接種で補償内容が異なります。




 上が定期接種での補償、下が任意接種での補償です。どちらも医療費・医療手当までは同じ補償内容です。しかし、健康被害の程度が重くなるほど、内容に差が出てしまいます。例えば18歳未満の方で何らかの障害が残ってしまった場合(かつ、それがワクチン接種によるものだと認定された場合)、定期・任意ともに障害児養育年金が支給されます。1級か2級かの判定基準は定期と任意でほぼ同等であるのですが、にも関わらず得られる補償は約半分になっています(まぁ判定基準が厳密に同じでない時点で、すでにおかしい気がします)。
 
 昨今新型インフルエンザワクチンについて盛んに情報が出てきていますが、ワクチンが確保できるのかとか、その有効性はどうだとか、情報公開が十分でないとか以前に、予防接種を推奨する環境がしっかり整っているかといえば、実際は厳しいです。そして、ワクチン問題はインフルエンザに限ったことではありません。この問題をとりあげてらっしゃる行政に近い方もいるようですので、インフルのみならず他のワクチンを接種するかどうか迷っている人や、こどもに接種する、と決めたお父さんお母さん方が少しでも安心できるように、国にはインフル対策と同時に、制度の見直しもぜひ行って頂きたいところです。

おまけ


予防接種について【追記あり】

 感染症予防のための予防接種が含まれる、公衆衛生の歴史と意味については前回(ほんの少しだけ)触れました。今回は、日本の予防接種制度に関わる法律と、その内容について考えてみます。記載内容に間違いがないよう注意してはおりますが、もしありましたらご指摘頂けると幸いです。
 ところで、日本で初めてなされた予防接種は痘瘡(天然痘)であったといわれています。肉も美味いし牛乳も飲めるし牛さん様々ですね。

予防接種法

 予防接種は日本において、予防接種法という法律にその内容が記載されています。

 第一章 総則
第一条 この法律は、伝染のおそれがある疾病の発生及びまん延を予防するために、予防接種を行い、公衆衛生の向上及び増進に寄与するとともに、予防接種による健康被害の迅速な救済を図ることを目的とする。
(平六法五一・一部改正)
第二条 この法律において「予防接種」とは、疾病に対して免疫の効果を得させるため、疾病の予防に有効であることが確認されているワクチンを、人体に注射し、又は接種することをいう。

 第二条で、予防接種の定義を「疾病に対して免疫の効果を得させるため、疾病の予防に有効であることが確認されているワクチンを、人体に注射し、又は接種すること」と定めています。前回触れた公衆衛生の定義は

公衆衛生は、共同社会の組織的な努力を通じて、疾病を予防し、寿命を延長し、身体的・精神的健康と能率の増進をはかる科学・技術である

http://d.hatena.ne.jp/Temper/20090512/1242136481

です。予防接種は疾病の予防に有効であることが(科学的に)確認されている方法であるから、公衆衛生対策として認められており、一国の法律にもなっている、と言えると思います。逆に言えば、病気に対して有効だという効果が適切な方法で研究され、認められなければ、予防接種のリストには入らないということです。

定期予防接種と任意予防接種

 現在日本には、生後三ヶ月から始まる定期予防接種(設定された期間内に接種すれば全額公費負担)と、定期以外に個人の任意でワクチンを接種する任意予防接種の2つの予防接種方法があります。国立感染症研究所感染症情報センター(IDSC)から、詳しい接種スケジュールをみることができます。

定期予防接種

 法律では、定期予防接種のワクチンの項目は第一章第二条第二項で

2 その発生及びまん延を予防することを目的として、この法律の定めるところにより予防接種を行う疾病(以下「一類疾病」という。)は、次に掲げるものとする。
一 ジフテリア
二 百日せき
三 急性灰白髄炎
四 麻しん
五 風しん
六 日本脳炎
七 破傷風
八 結核
九 前各号に掲げる疾病のほか、その発生及びまん延を予防するため特に予防接種を行う必要があると認められる疾病として政令で定める疾病

第三項で

3 個人の発病又はその重症化を防止し、併せてこれによりそのまん延の予防に資することを目的として、この法律の定めるところにより予防接種を行う疾病(以下「2類疾病」という。)は、インフルエンザとする。

と定められています。
 上記の通り、定期接種には「病気にかかることやその病気が拡がることを防ぐ」一類疾病というものに指定される病気と、「個々人が病気にかかったり、かかっても重症にならないようにして」しかも「その病気が拡がることを防ぐのに役立つよう、予防接種を行う」二類疾病*1というものに指定される病気の二つが定められています。結核の予防接種であるBCGは、もともと結核予防法で予防接種を行うこととされていましたが、現在は予防接種法の一類疾病に指定・実施されています。

任意予防接種

 定期接種以外に、日本国内で接種できるワクチンには主に
Hibワクチン
・肺炎球菌ワクチン
・インフルエンザワクチン
・水痘ワクチン
・おたふくかぜワクチン
A型肝炎ワクチン
B型肝炎ワクチン
などがあります。
 話は少し脱線しますが、上記のうち、こどもの細菌性髄膜炎の原因となるHib(インフルエンザ菌b型)ワクチンは2008年末に国内で認可され、大々的にメディアに取り上げられたのでご存知の方もいるのではないでしょうか。IDSCによると、平成18年に報告された感染症発生動向調査に基づく細菌性髄膜炎の患者数は国内350人で、届出があった患者の約40%がHibによる髄膜炎であったそうです。致命率も約5%と高く、発育障害などの重い後遺症を残すことも少なくない病気で、ワクチン接種が唯一の予防方法であるといわれていますが、悲しいことにワクチンの接種率はおろか、供給量すら十分ではありません。加えて、1人あたり全4回のワクチン接種で3万円と少々高額な費用もかかります(Hibワクチンの認可やドラッグ・ラグについては、こちらマニフェスト工房さんに非常に詳しく紹介されています)。一部自治体ではお金の補助をしているお役所もあるそうですが、一刻も早いワクチン確保と、公的な費用助成制度の整備が望まれるところです。

次回予告(案)

 予防接種法に規定されている定期接種と任意接種、そしてワクチンの種類を確認したところで、定期と任意の違いや問題点についてみていこうと思います。

*1:現在定められているインフルエンザワクチンは65歳以上の方に対してと、60歳以上65歳未満の方で、心臓、腎臓もしくは呼吸器の機能又はHIVによる免疫の機能に障害を有するものとして厚生労働省令で定めるもの【09/08/25追記】

看護師と保健師と4年制大学のお話

※おことわり
 以下の分はTemperの独断と偏見に満ちた文章です。読む方の気分を害する可能性が大いにあります。ご了承下さい。
 アンダーラインをみつどんさんにささげます。

看護大学と保健師

 保健師のまとめブログ2さんの6月20日日記

看護大学、保健師教育必修を除外へ

看護行政・保健師情報

大学教育における助産師教育と保健師教育の違いは、助産師が選択制なのに対し、保健師は必修であること。
大学教育を掌る文科省の考えとして「大学教育なのに看護だけなら専門学校と変わらない。保健師の視点、地域を見る目も必要」
というものがあったため、必修化されていました。

http://d.hatena.ne.jp/hokenshi/20090620/1245688006

 自分の出身大学もそうですが、4年のうち3年を教養科目と看護の専門科目に、残り1年を保健師の単位と卒業研究で半分ずつ、というようなカリキュラムが組まれていました(単位の割合とかはうろおぼえですすいませんすいません)。今のところ日本で看護大学というと、全部がこの「卒業と同時に看護師と保健師の国家試験受験資格を得ることができる」仕組みです(例外として国立看護大学校で4年制の看護のみ+助産師選択がありますが、厳密には「大学」でないのでちょっと脇に置いておきます)。
 ですので、日本で看護師の資格が欲しい場合は、看護専門学校で3年間学ぶか、大学で看護プラスアルファ保健師の勉強を4年間するか、という2択になっています。
 ちなみに、うちの大学は夏休み返上で授業を受けることで助産過程も履修可でしたが、自分の在学中に大学院へと変更されていました。

ただ、「保健師に興味がない」という学生も保健師実習が必要であり、雨後の竹の子のように看護大学が増えてしまった現在では

* 学生→興味がないのに実習
* 現場→興味がない学生を含む大量の学生の受け入れ

という状況。

 大学に保健師過程もあると分かっていて受験したのだとは思いますが、留年した私がみたどの学年にも「別に保健師いらないんだよね」てな意見をお持ちの方が数名から見受けられました。保健師単位分の、地域看護学なんていう授業を欠席する頻度が増えたり、実習中の態度がまずかったり…といったことも実際あったようです。実習受け入れ先にとっても、学生にとっても利どころか害しか一致してない状況は、確かにいただけません。

というわけで、看護協会や厚労省看護課、現場は(各の組織でいろいろ思惑もありますが)、「保健師教育も助産師教育と同じ選択制」を訴え続けてきました。

そんな訴えていた場所の一つである文科省の「大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会」で、こんな素案がまとめられています。

保健師実習、必修除外へ 看護系大学の教育内容見直し 47NEWS(2009.6.20)

 看護系大学の教育内容を検討している文部科学省の専門家会議は20日までに、学生の急増や医学の高度化に伴い、教育の質が保てない恐れがあるとして、卒業の要件から
保健師の履修課目を外すことを柱とする報告書素案をまとめた。近く中間報告を提出する。
 保健師と看護師の免許取得に必要な教育内容を統合したカリキュラムを全大学が取り入れているが、保健師教育については選択制や大学院での履修などで看護師教育の充実に力を入れる。
教育体制や実習先が整った大学は保健師教育を必修のままにできるとし大学側の裁量を認める。早ければ2013年度以降、導入の見通しだ。
 1991年度に11校だった看護系学部・学科がある大学は、看護師不足を背景に急増し09年度は178校。定員は91年度の558人から09年度が1万4192人と約25倍にもなった。
 学生の急増で、看護実習先となる病院は確保できても、保健所を中心とした保健師実習の受け入れ先が不足していた。

 有識者によると、"学生の急増や医学の高度化に伴い、教育の質が保てない恐れがある"という理由から、保健師の課目を外す=実質看護(専門)大学創設を検討する必要がある、との結論に至ったようであります。うーんそうねぇ、4年間みっちり看護学を学んで、学士の資格もとって、先進医療に強い看護師を育てて…って、そんなにうまくいくものなのかしらん。
 実際のところ、看護師の資格が欲しい「だけ」なら3年の専門学校を卒業すればいいわけです。保健師助産師になりたい場合は、新たに1年間ほど学校に通わなくてはならないので、現状の4大よりは入学試験などで手間がかかる印象があります。
 余談ですが個人的な印象では、看護大学を目指す人は
1)看護師以外に保健師もしくは助産師の国家試験受験資格や学士の肩書きが欲しい(卒後の給料高いし)
2)なんとなく看護大学(卒後の給料高いし)
という感じに分けられるのかなと思います。自分は2)1)でした。

"学生の急増や医学の高度化に伴い、教育の質が保てない恐れがある"という理由

 看護大学を上記の専門家会議のようにカリキュラムを変更すれば、看護教育の質は保てるのでしょうか。
 私にはそう思えません。「学生が急増」すれば、その中には2)のような学生も確実におります。特に昨今の就職難な時代にあっては資格職の強さは計り知れませんので、仕事を続けられるかどうかは別として「就職できるかどうか」を職業選択において重要視する人も少なからずいると思います(ここではとりあえず、看護師の適正云々は抜きにします)。医学の高度化に関しても、病院等の現場ですらアップデートしきれていないような知識を、教員が学生に教えることができるのか疑問ですし、3年から4年にしたところで、実際に現場に出るタイミングが遅れるだけだという見方もできるのではないでしょうか。というわけで、私は"学生の急増や医学の高度化に伴い、教育の質が保てない恐れがある"から保健師の履修を除外して看護のみ4年、という意見には反対です。教育の質を保ちたいなら別の方法が…
ただし、私は看護4大制自体は検討する価値があるのではないかと考えています。

看護4大制

 看護師は技術職なんだから、看護学ってなんだよそんなもんいらないよ、解剖学とか生理学とか薬理学等の医学の基礎とその他専門科目を頭に叩き込んで、あとは臨床で学べよ、と言いたい所ですが、やはり現場での看護師としてのあり方などを「研究」するためには「学士」の肩書きが要ると思われます(大学院の位置づけとかはあまり詳しくないので間違っていたらすみません)。医学の高度化を看護教育の質の低下に直接結びつけるのはどうかと思いますが、高度化しているのは事実であってそれを「研究」して現場や学校まで提供する流れは必須でしょう。看護師国家試験を3年次に受験・資格を取得して、研修医ならぬ研修看護師といいますか、4年目をリアリティーショック軽減のための実習期間とすることで、看護師不足で問題となる離職率軽減に役立つかもしれません(3年で国家試験落ちても4年目で取れるような仕組みも作れそうだしNE!)。統計学や公衆衛生学といった、数字や集団の医療・健康を扱う学問にじっくり取り組むことを通して、医療に関する情報を正しく使えるようになるカリキュラムをつくるのもいいと思います(というか必須か)。短絡的ですが看護師や助産師が、安易にホメオパシーなどにハマることも少なくなるかもしれません(ここ重要)。

妄言まとめ

 とりあえず知識がない者の妄想を書いてみました。専門家だからこそ、お持ちの専門的な知識を「質の低下が…」というような理由ではなく、向上を見込むにはどうすればよいのかという視点で検討して頂きたいと願います。

 しかし、4大の検討をする前に、保健師の存在意義とか、既存の専門学校との教育差とか、準看護師の資格の扱いとか、もっと先に考えることがあるだろと思わなくもない…
 

いやしのつえ

 昨年の5月から、念願のねこ暮らしを始めて早一年。
親が犬ならいいが、猫はだめ派だったので、実家では近所の猫と遊ぶぐらいしかできなかった。

 小学校からの帰り道に、「チー」という雌猫がいた。複数の家でご飯を食べる姿が目撃されている
典型的な愛されネコであったようだ。
確かに、こちらがしゃがんで「チー!」と呼ぶと、どんなに遠くからでもミャオワオワオワオアと、歩きに合わせて
ビブラートを効かせながら寄ってくる。そして一生懸命、服に毛をつけてくれたものだった。

 土曜の集団下校の際に、上級生がチーに向かってゴムボールを投げる事件が発生した。
この時ばかりは心の底から人を憎いと感じた。その上級生には、ちょっとぐらいバチが当たっても
いいんじゃないかと今でも思っている。

 その後も何度か、チーと遊ぶ機会があった。自分は中学になってから通学路が変わり、なかなかチーに
会うことはできなくなった。旅立った先でどうしているかは分からないが、まぁ相変わらずミャオワオいいながら
毛を振りまいていることだろう。

 そんなこんなで私は猫が好きだ。

ある掲示板でのやりとり

みなさん、初めまして。
東京都内で保健師として勤務させて頂いている者です。

□□さんの掲示板を拝見させて頂きましたら、予防接種について
様々な意見をお持ちの方がいらっしゃるようですね。
マスコミの新型インフルエンザ騒ぎも少々落ち着いてきた昨今、
対策であるワクチン製造に、世界的に着手し始めたとも聞きます。

インフルエンザに限らず、予防接種というものは、病気への非常に
良い対策方法であると私は認識しています。
が、一方でそうでない意見もあるようです。

そこで、実際に頑張って子育てなさっているみなさんや、育児に関わる
お仕事をなさっている方の生の意見をお聞かせ頂きたいと思い、こちらに書き込ませて頂きました。

1)予防接種することは賛成か反対か
2)1の答えはすべての予防接種に対してか、それとも特定のものに対してか
3)1と答えた理由は何か
4)1で反対と答えた方へ、現在の予防接種がどう変われば、受けてもいいと言えるか、またその理由は何か

上記のような形でお答え頂けると幸いです。ご回答頂く際には、体験談や
判断するのに用いた情報など、できるだけ具体的にご記入頂けると
こちらも理解しやすくなりますので助かります。
ぜひ多くの方のご協力をお願いいたします。

こちらでいつも勉強させていただいていて、今も悩んでいる親の一人です。

> 1)予防接種することは賛成か反対か

賛成か反対か?という選択肢がどうかなぁとおもいます。
予防接種は、必要かつ有効な物であれば、しますし、有害で不要のものなら、要りません。
その判断ができる材料を提示してくれていないまま、強制ではないのに、強制のように進められる今の予防接種のあり方に疑問があります。
そういう意味で言うと反対です。

> 2)1の答えはすべての予防接種に対してか、それとも特定のものに対してか

特定の物は、今の日本にとっては全くの不要だと思うので、予防接種を続けること自体反対です。

> 3)1と答えた理由は何か

上記も答えの一部ですが、「ワクチン」の登場で「ウィルス」の流行を自在に操れるというおごりが、怖いなと思います。
子供の時期の病気をかからないように操作することで、大人になってから子供の病気で重篤になってしまったり。
予防接種の期限切れで弱い免疫抗体しか持たないお母さんの体内の胎児、生まれたばかりの赤ちゃんがより危険にさらされているんじゃないかと思います。

> 4)1で反対と答えた方へ、現在の予防接種がどう変われば、受けてもいいと言えるか、またその理由は何か

本当に必要なのは何か?本当に必要な人は誰か?
病気と共存する方法は無いのか?などがきちんと検討されて、説明をしっかりしてもらえたら、安心して受けるかもしれません。
いまだとどれが良くてどれが悪いのかわからないから、全部に対して懐疑的になってしまいます。

病気の死亡率を上下させるのは、予防接種の有無ではなくて、
貧困、社会の情勢不安、ストレスなんだと勉強しました。

富める国のそれでなくても死亡率の低い国民が、受けても受けなくても意味の無いワクチンを無駄に打つくらいなら、
それがないと明日をも生きれない国の子供たちにまわしてあげることはできなのかなぁと、歯がゆく思います。

ご意見をどうもありがとうございます。
設問の件は、このほうが答えやすいと考えたため、意図的に二者択一にさせて頂きました
(誘導的な質問にするためではありませんので、念のため)。
第三の選択肢がある方は、○○さんのように答えて頂けると思いましたので(笑
しかし、私に足りない所もあったようで、申し訳ありません。

では、ご意見を確認させて頂きます。

> 1)予防接種することは賛成か反対か
>賛成か反対か?という選択肢がどうかなぁとおもいます。
>予防接種は、必要かつ有効な物であれば、しますし、有害で不要のものなら、要りません。
>その判断ができる材料を提示してくれていないまま、強制ではないのに、強制のように進められる今の予防接種のあり方に疑問があります。
>そういう意味で言うと反対です。

○○さんの意見は
「必要なものならするし、不要なものならしないが、それを個人が判断できるような情報が(国や市町村から)提供されないで実施されるのはどうか」
ということであると認識しました(こちらも、間違っていましたらごめんなさい、仰ってくださいね)。そうですね、行政側の問題として、
予防接種に関する説明が完璧ではないというのはあるかもしれません。この点について、私の思うところを下に書きました。

> 2)1の答えはすべての予防接種に対してか、それとも特定のものに対してか
>特定の物は、今の日本にとっては全くの不要だと思うので、予防接種を続けること自体反対です。

一つ目の質問なのですが、1)のお答えでは「材料がないので要不要の判断ができない」とのことでしたが、
「特定の物は、今の日本にとって全くの不要」であると判断なさったのですね。差し支えなければ、○○さんが「特定の物は、今の日本にとって全くの不要」
であると判断した材料と、不要であると思った予防接種が何か、教えて頂けないでしょうか?

> 3)1と答えた理由は何か
>上記も答えの一部ですが、「ワクチン」の登場で「ウィルス」の流行を自在に操れるというおごりが、怖いなと思います。

これは予防接種について、人に説明する私達にとって注意しなければならない非常に重要な部分だと思うので、ぜひお聞かせいただきたいです。
○○さんの言う「おごり」とは、どういうところでお感じになったのでしょうか?ちなみに私としては、「ウィルスの流行を自在に操れる」などと思ってはいません。
といいますか、そう思ってはいけないと考えています。

>子供の時期の病気をかからないように操作することで、大人になってから子供の病気で重篤になってしまったり。
>予防接種の期限切れで弱い免疫抗体しか持たないお母さんの体内の胎児、生まれたばかりの赤ちゃんがより危険にさらされているんじゃないかと思います。

すみません、ちょっと詳しい情報が手元にないのですが、○○さんが上記のことを学ばれたのはどういった情報からでしょうか?私の認識では、弱い抗体をもつ
お母さんから胎盤をとおして胎児にわたされる抗体は弱い、というようなことを言っている文献もあるようですが、「危険にさらされている」というほどではないと
考えています。上記が事実だとしても、追加で予防接種を行うことで補強できるとも思います(現に2度の接種を推奨しているワクチンもありますよね)。

> 4)1で反対と答えた方へ、現在の予防接種がどう変われば、受けてもいいと言えるか、またその理由は何か
>本当に必要なのは何か?本当に必要な人は誰か?
>病気と共存する方法は無いのか?などがきちんと検討されて、説明をしっかりしてもらえたら、安心して受けるかもしれません。
>いまだとどれが良くてどれが悪いのかわからないから、全部に対して懐疑的になってしまいます。

今私に言えるのは、「現在予防接種として認められているワクチンは、国民の健康を守るために有効であること、それを受けるべき対象者は誰であるかなどが
専門家によって必要なだけ検討されているものである」ということです。国は信用できない、なんて言われてしまうとどうしようもありませんが…私は、
説明する側である私達が完璧であるとは思っていません。○○さんの仰るとおり納得のゆくまで説明をする機会をもっと設けたり(例えば公民館などで説明会を
開くとか、定期健診の際に配布する予防接種についての冊子などをもっと分かりやすく、疑問があれば保健師さんや看護師さん、お医者さんに聞くことができる
環境をつくるとか)すべきであると考えています。

ひとつお聞かせ頂きたいのですが、掲示板のインフルエンザについての書き込み中にもありましたが「病気と共存する」とはどのようなことを指すのでしょうか?
個人的には今でも十分共存状態にあると思っておりますが、簡単なイメージでも結構ですのでお願いいたします。

>病気の死亡率を上下させるのは、予防接種の有無ではなくて、
>貧困、社会の情勢不安、ストレスなんだと勉強しました。

これについても参考までにどちらでどのように勉強なさったのか、教えていただけると今後の参考になります。確かに貧困による生活環境や、色々なストレスなどが
死亡率に関わっているのは事実です。ですが、新生児の死亡率が世界トップクラスに低い日本でも、未だに予防接種で防げる病気で亡くなっているお子さんもいらっしゃいます。
ですので、"貧困、社会の情勢不安、ストレス"が関係あるからといって、(残念ながら)予防接種をしなくていい理由にはなりません。

>富める国のそれでなくても死亡率の低い国民が、受けても受けなくても意味の無いワクチンを無駄に打つくらいなら、

受けても受けていなくても意味の無いワクチンとは、具体的に何を指しているのでしょうか?上に書きましたが、ワクチンは効果があることが専門家の検討でわかっており、
だからこそ世界的に病気の対策として導入され、それによって救うことのできる命があります。感染症による死亡率の低い日本でもです。この事実があるので、
○○さんの仰ることは失礼ですが「日本で予防接種を必要とする、例えば体の弱い子たちは無視」に近いと思うのですがいかがでしょうか
(少々きつい言い方になってしまってごめんなさい)。

>それがないと明日をも生きれない国の子供たちにまわしてあげることはできなのかなぁと、歯がゆく思います。

WHO、ユニセフ等の国際機関が行っている活動を、テレビや雑誌等で読んだことのある方もいらっしゃると思います。
日本からでも、例えば募金等でその活動に参加することができますよ。

色々と意見させて頂きましたが、少しでもお悩みの解決のお役に立ちたいと思っています。もし疑問等ありましたら、
できる限り正確な回答をしたいと考えていますので、なんでも仰ってください。

※予防接種を強要したいための意見ではありません。ご了承下さい。

返信を拝見して思ったんですが・・・・。
素人相手に論破したいんですか?

私が〇〇の予防接種は不要だと思うと答えたところで、
〜〜ということで有効(必要なんですよ)って言う答えが返ってくるのが見えます。

書いてくださった解答は、保健センターに電話したら返ってくる答えで、私が求めている説明とはそんなことじゃないです。

△△さんが予防接種を推進する方ということで、このやり取りで、残念ですがますます予防接種が嫌になってしまいました。

「知りもしないくせに、素人の母親が・・・・」という侮蔑の感情があるように思うのは気のせいでしょうか?

私がどこの情報で判断したか?
どの予防接種が不要と思うのか?
あなたにとてもお答えする気にはなれません。

コメント入れて後悔しています。
皆さん避けておられて賢明ですね。

○○さん、こんばんは。

> 返信を拝見して思ったんですが・・・・。
> 素人相手に論破したいんですか?

いえいえ、論破したいなんて微塵も思っていません。
そして、素人の母親が…なんて見下した態度など、そんなこと失礼すぎてどなたに対してもとれません…
私自身、まだまだ経験の浅い人間です。人並みに意見を述べることが精一杯です。

ですので、最初に○○さんに書き込み頂いたときに、
1)予防接種について今も悩んでらっしゃること
2)予防接種が必要かどうかの判断ができる材料を、接種を勧める側がきちんとしめさないままに実施されていること
そして
3)本当に必要なのは何か?本当に必要な人は誰か?病気と共存する方法は無いのか?
という検討課題があるだろうという意見を頂いたので、少しでもお役に立てればと思い、お返事させて頂きました。
途中質問させていただいたのも、ひとつひとつ○○さんがお持ちの疑問の詳細を知ることで、
解決への何かしらの足掛かりになるのではないかと考えたからです。

ですが、「論破したいのか」ととられてしまったということで…
私がお返事させて頂いた目的は、あくまでも
・接種が必要かどうかを○○さんが判断できるような手助けをすること
・ひいては○○さんとお子さんが、健康で生活できる一つの材料になること
だったのですが…私が勘違いして、一人で走ってしまっていたようですね…
繰り返しますが、絶対に上から目線で論破がしたくてお返事したわけではありません。

ご迷惑をおかけしました。余計なことをして本当にごめんなさい。
○○さんが納得されるような説明や回答が、いつか得られますよう応援しております。

あーあ…

公衆衛生

 新型インフルエンザの感染拡大が騒がれている昨今ですが、感染症の重要な予防対策のひとつに『予防接種』があります。ほとんどの方は、お父さんお母さんに連れられてお役所などへ行き(痛い?)注射をされた経験があると思います。どうやらあまり予防接種を良く思わない方々も少なからずいるようですが、これが死を防ぐ唯一の手段と言っていい病気も、未だ身近に存在します。

 そんな大切な予防接種ですが、この行為のおおもとには「公衆衛生」という概念が存在します。はてブのタグで使ってらっしゃる人もいるようです(自分もそうだけど)。ただ、普通に生活する上では、仕事等が関係しないかぎりあまり縁がない気がします。そもそも、公衆衛生にはどういう意味があるのでしょうか。

公衆衛生の考え方と身近な問題の関連性については、どらねこ日誌さんのエントリが秀逸です。
こちらでは公衆衛生の概念について、雑記程度にまとめてみます。

公衆衛生の意味

 みたままですが、公衆衛生とは:
地域社会の人々の健康の保持・増進をはかり、疾病を予防するため、公私の保健機関や諸組織によって行われる衛生活動〔大辞泉
のことです。これには、後で触れますが我々の健康をまもる各種保健活動が含まれています。

 日本では、「衛生」の概念が確立されるまで、「養生」という言葉を使っていました(貝原益軒「養生訓」1703年)。「養生なさい」なんて、最近あんまり聞きませんね。別に緑色のテープを張ったりするわけではなく、養生とは生を養い、人間の身体を整える、というような意味がありまして、例えば上記の「養生訓」には、食べ物や睡眠時間から、夫婦生活(余計なお世話だ)、部屋の向き(これも余計な略)まで、どう暮らせば健康を保ち、人生を楽しむことができるかが詳しく書かれています。現代語訳もググるとすぐ出てきますので、興味のある方はご参照下さい。
 ただこの養生訓は、基本的に個人の生活に対してのアドバイスであります。後述の、西洋から導入された所謂衛生の語源である「hygiene」とは若干視点が異なるようです。

 明治時代になって、「hygiene」の考え方が西洋医学全般とともにドイツから入ってきました。英語では生命や生活を守る概念として使われている「hygiene」は、健康への個人の心構えや習慣以上に、たとえば上下水道の整備など、よい生活環境を整えるための社会的な対策が基になっているようであります。産業革命後の都市の、生活環境悪化に伴う伝染病対策として、健康に関わる環境整備の視点が重要視されたのは必然の流れでありますね。
 疾病対策には疫学も関わってくるのですが、まとめきれなさそうなので別の機会に…
 というわけで、「hygiene」の訳語として、日本語の「衛生」が採用され、19世紀後半にドイツでできあがった衛生学を我が国はとり入れたのであります。このドイツ的衛生学は、第二次世界大戦まで主に用いられました。後にGHQが来日したのと同時に、今度はアメリカ流の公衆衛生学がもたらされ、占領政策の一環として日本の医学教育に組み込まれました。そして現在に至ります。
 日本の公衆衛生は、戦後最低の衛生状態から、世界有数の長寿国になる現在まで、まさに国の発展を支えた最も大きな柱でありました。

 ウィンスロー*1(C.E.A. Winslow; WHO)は1949年に、「公衆衛生は、共同社会の組織的な努力を通じて、疾病を予防し、寿命を延長し、身体的・精神的健康と能率の増進をはかる科学・技術である」と定義しています。その内容としては、環境保健、疾病予防、健康教育、健康管理、衛生行政、医療制度、そして社会保障があげられていて、学問というより実践的活動そのものが重要視されています。
 ここで重要なのは、"共同社会の組織的な努力を通じて"と"科学"という言葉です。個人単位ではなく、ましてや国だけでもなく、あくまでも社会に住む人々や、そこに存在する組織全体の努力をもって、更に科学的な方法にて健康に結び付けようとする活動が公衆衛生なのです。

まとめ:公衆衛生とは

 集団の健康を保持・増進するための科学的で具体的な考え方、技術、活動のこと。

そして予防接種へ

 「みんなでみんなの健康のこと」を「科学的に」考えるのが公衆衛生で、私達の健康を害する病気のいち予防活動として予防接種があります。のちほど、予防接種の意味や重要性、実施にあたって解決すべき課題などについて書いてみようと思います。いつになるかな…

参考
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E8%A1%86%E8%A1%9B%E7%94%9F
衛生学・公衆衛生学 南江堂
国民衛生の動向2008

*1:WHO(世界保健機関)の偉い人アメリカの公衆衛生学者