開業助産師とホメオパシー

 明けましておめでとうございます。今年も、もう10日ほど経ちましたが、よろしくお願いします。新年はもうちょっと更新頻度をあげたい…

 新年初めは慣れない事をしてみようということで、ホメオパシー(とらこぱしー)と助産師と、助産師の知識レベルについて考えてみたいと思います。教育課程では少なからず同じ単位を学んでいる(はずの)助産師が、予防接種拒否宗教であるとらこぱしーに何故ひっかかってしまうのか、考察します。

開業ジョサンシの憂鬱

 ニセ科学対策の聖地?であるkikulogで、あるホメオパシー助産院が紹介されていました。その助産院ホームページの掲示板では、これから赤ちゃんを産むであろうお母さんや、無事に出産を終えたお母さんが各種の相談をしているのですが、予防接種(麻疹)の質問への助産師の返答が目についたので、それについて触れます。

 岡本助産院トップページから、おしゃべりROOMという名前の掲示板を閲覧することができます。その中の、一人のお母さんから

予防接種について 教えて頂きたい事があります。
講習会で予防接種の話を聞き、「下の子には予防接種は控えよう」と思い今まできたのですが
健診の際、内科医の先生から「予防接種を受けていない子供が団体生活に入るとほかの子供に迷惑だ。
あなたの子どもがはしかにかかってほかの子供に移した場合、あなたのせいですよ」
と言った内容のお叱りを受けました。
下の子は来週から保育所へ行きます。今後とも子供に予防接種を受けさせるつもりはないのですが、
集団生活はわが子だけの問題ではないので「ほかの子供に迷惑」という言葉がとても気になっています。
ホメオパシー的にはどう解釈していますか?

という書き込みがありました。
それに対して、岡本助産師という人が

お問い合わせのような言葉を小児科の先生から言われたという方は大勢いらっしゃいます。
保育所の他のお子さん達は予防接種をしておられるなら、はしかにはかからないということですよね。それなら予防接種を受けていない子がもしはしかにかかっても迷惑でもないんじゃないかと思うんですがいかがでしょうか。予防接種はかからない為にされているはずですから・・・それとも予防接種をしてもやはりはしかにかかるということなんでしょうか?それなら予防接種をしてもしなくても変わらないということになります。
今はやりの新型インフルエンザもそうですがワクチンの中になにが入っているか、ワクチンを打って抗体を作っても免疫は下がります。抗体イコール免疫ではないということです。
もっとその事実を皆がよく理解したほうがいいと思います。ですから予防接種を打たないことが人に迷惑をかけることにもならないし、ましてや虐待をしていると言われることもないと思います。この小児科の先生の言葉でお母さん達が本当に傷ついて相談に来られます。スタッフサグリアでもなめておいて下さいね。
少し前に研修でロンドンに行ってきましたが、イギリスでは新型インフルエンザについては殆ど話題になっていませんでした。マスクをしている人もないし、まずイギリスの医師の半分が予防接種に反対したことで国でも勧めていないようです。
日本の外から日本を見ると本当に日本が病んでいると思いました。
子供がかかる病気にはセミナーで聞いて頂いたようにそれぞれ意味があります。しっかりかかりきることでどれほどの免疫力を獲得することができるか。そしてレメディーを使うとしっかりかかりきって本当に早く治りますよね。
小野さんが母親として子供の為に正しいと信じた通り行動すればいいと思います。
また良かったらセミナーに参加して下さい。
来年は1月下旬か2月初め頃に開く予定です。レメディーの在庫も置いていますのでどうぞ。

と返答しています。

 お母さんの書き込みは、まぁ典型的なホメ信者であることが分かります。本来ならば信者に対しても「良いホメオパシーの選び方(仮題)」など介入すべきなのかもしれませんが、今の自分では不毛な罵倒しかできず終わることになりかねないため保留します。とりあえず医療職者側の書き込みに対して、批判じみたことをします。

予防接種することのメリット・デメリット

保育所の他のお子さん達は予防接種をしておられるなら、はしかにはかからないということですよね。それなら予防接種を受けていない子がもしはしかにかかっても迷惑でもないんじゃないかと思うんですがいかがでしょうか。予防接種はかからない為にされているはずですから・・・それとも予防接種をしてもやはりはしかにかかるということなんでしょうか?それなら予防接種をしてもしなくても変わらないということになります。

この発言が一般の方であれば、「なるほど、そういう考え方もありますね。」と一定の理解は(個人的に)できます。感染症に関わらず、物事をみる視点は集団からのものと個人からのもので(時に大きく)異なります。そして、集団で得られるメリット・デメリットと、個人で得られるメリット・デメリットが互いに干渉し合う場合も少なからずあります。

 車のシートベルト等で例えるなら、集団の視点におけるメリットは「事故死減少による国際的評価の向上」「事故で亡くなる生産年齢人口減少防止」「事故による重症や即死減少によって、それにあてる医療資源分がうく」などと仮定できるでしょうか。デメリットは…すぐに思いつかないので「なし」とします。対して個人の視点におけるメリットは「シートベルトが事故の際の重症や即死を防ぐ効果がある」「安心感」、デメリットは「胸部の締め付け感がある」「シートベルトによる胸部損傷」「行動が制限される」「チャイルドシートに子供を乗せると嫌がる」「面倒くさい」などでしょうか。

 極端な例ではありますが、集団にはデメリットが(おそらくほとんど)無く、個人にとっては制限があるようにみえます。制限が無い=良、制限がある=悪と考えるなら、もちろん前者のほうであるに越したことはない…と思われますが、じゃあ実際、その制限はどのくらい悪なのかというと、上記の例でいえば「シートベルトをするメリットを超えるほどの制限ではない」と(個人的に)考えます。
 はしかに戻ると、(詳細は省略しますが)感染力の強い病気であり、38度以上の高熱が数日続くことも多いとされています。はしかに感染・発症後におこる合併症も少なくなく、肺炎や脳炎が死因となります。ワクチンに限らず、その他薬剤による副反応・副作用は確かにあります。が、さてそのデメリットはワクチン接種(薬剤を服用)するメリットを超えるほどに心配することなのか、高熱や肺炎で、子供を苦しめてまで予防接種を拒否すべきものなのでしょうか。

 上の助産師のコメントの裏には、「予防接種は不要なもの・危険なものである」という認識があるように思います。まぁとらこぱしー自体が信者をそのように洗脳しているわけで、もう驚くほどのことではありませんけれども…ただ、日本の国家試験を受けて取得する資格である助産師が、看護師という資格を共有している医療関係者が、こんなコメントを残していること自体が非常に残念です。

次回予告

 次回、はしか(麻疹)の詳細と助産師についての考察を予定しています。