いやしのつえ

 昨年の5月から、念願のねこ暮らしを始めて早一年。
親が犬ならいいが、猫はだめ派だったので、実家では近所の猫と遊ぶぐらいしかできなかった。

 小学校からの帰り道に、「チー」という雌猫がいた。複数の家でご飯を食べる姿が目撃されている
典型的な愛されネコであったようだ。
確かに、こちらがしゃがんで「チー!」と呼ぶと、どんなに遠くからでもミャオワオワオワオアと、歩きに合わせて
ビブラートを効かせながら寄ってくる。そして一生懸命、服に毛をつけてくれたものだった。

 土曜の集団下校の際に、上級生がチーに向かってゴムボールを投げる事件が発生した。
この時ばかりは心の底から人を憎いと感じた。その上級生には、ちょっとぐらいバチが当たっても
いいんじゃないかと今でも思っている。

 その後も何度か、チーと遊ぶ機会があった。自分は中学になってから通学路が変わり、なかなかチーに
会うことはできなくなった。旅立った先でどうしているかは分からないが、まぁ相変わらずミャオワオいいながら
毛を振りまいていることだろう。

 そんなこんなで私は猫が好きだ。